団地の多様性を住宅とともに再興する。

高度経済成長期に良質な住宅を勤労者へ提供するために建てられた数多くの団地。
当時の団地は新たな家族像を形成し、機能的な住宅設備を持ち合わせた、変わりゆく時代を先導するものでした。
その後、幾年月と時間が過ぎ、多くのものが生まれ、廃れていく中でも、団地は変わらず当時のまま。完成時の姿を色濃く残し、時代を先導していたはずが、いつのまにか時代に置いていかれてしまったのでした。

しかし、私たちは団地という存在がすべてにおいて取り残されたものではないと考えています。
壁式構造の団地は堅牢で地震に強く、建築構造の異なる築浅の物件に見劣りするものではありません。
また、現在では考えられないほどゆったりとした間隔で建てられた住棟は、抜群の通風と採光を生み出します。
加えて、完成当時にさまざまな出自・世代の入居者が一堂に介したことで作り出されたコミュニティは、これからも多様性を受け入れる規模の大きな器となります。

これまでと同様に、時代とともに家族や生活の拠点としての住宅の役割は変化を続けていくことでしょう。
そうした中でも、団地の良いところは残しつつ、今後も魅力ある賃貸住宅として団地を残していきたい。
私たちはその想いをもち続け、今後も団地リノベーションプロジェクトを進めていきます。